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米田 政夫
原子力・量子・核融合事典,4, p.136 - 137, 2014/12
シリコン単結晶に中性子を照射すると、シリコン中のSi(同位体比3.1%)がSi(n,)Si反応を起こす。ここで生成したSiは崩壊(半減期2.6時間)を起こし安定核種であるPとなる。生成したPがシリコン中に添加(ドーピング)されたことになり、シリコンはn型の半導体となる。このように、中性子を利用したシリコンドーピングを行う手法を中性子核変換ドーピング(Neutron Transmutation Doping: NTD)と呼び、おもに研究炉において照射が行われる。NTD法は他のドーピング方法に比べて均一な照射が可能という特徴を有する。NTDシリコンはおもに高耐圧の絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor: IGBT)で使用される。IGBTは電力を効率よく使用するために電力をコントロールするものである。高耐圧以外のIGBTについてはNTD法から他のドーピング手法への移行が進んでいるが、高耐圧IGBTに対応できるのはNTDシリコンのみであることから、今後も高耐圧IGBT用のNTDシリコンの需要は続くものと考えられる。
Lin, M.; 室屋 裕佐*
原子力・量子・核融合事典,4, p.104 - 105, 2014/12
丸善出版により企画された「原子・量子・核融合の事典」において、水の放射線化学に関する章を執筆した。水の放射線化学の歴史やさまざまな分野における重要性を紹介し、反応メカニズム、LET依存性や温度依存性などの影響因子等、初学者が習得すべき内容をわかりやすく記述した。
永石 隆二
原子力・量子・核融合事典,4, p.106 - 107, 2014/12
原子力では放射性核種及び核反応を取り扱うため、施設や装置は線, 線等の放射線に晒される。このような放射線場では装置や機器、材料が放射線損傷・分解で劣化して、本来もつ、あるいは期待される機能や性能が低下する可能性がある。また、施設や作業の工程によって、取り扱う放射性核種や核反応の量及び質が異なるため、異なる放射線場が形成され、劣化や機能低下の程度が異なる。原子力での放射線効果として、原子炉内部の腐食ならびに炉水環境の制御、原子力施設でのケーブル等の劣化等も挙げられるが、ここでは、核燃料サイクルの後段にあたるバックエンドである、再処理と地層処分での放射線効果について解説する。
広田 耕一
原子力・量子・核融合事典,4, p.126 - 127, 2014/12
放射線による環境汚染物質の分解について解説したものである。具体的には、電子線を利用した排ガス中揮発性有機化合物(VOC)及びゴミ燃焼排ガス中ダイオキシン類の分解について、実験装置,分解率,分解によって生成する中間副生成物等について放射線化学の観点から概説した。例えば、VOCの分解では、排ガスに直接電子線を照射することにより空気成分の水から生成したOHラジカル等により芳香族化合物を分解し、中間副生成物として、ギ酸,酢酸,プロピオン酸等の有機酸と有機硝酸塩を含む粒子状物質が生成するが、さらに酸化がすすむと二酸化炭素まで完全に分解できる。また、酸化分解を促進するため電子線照射後の排ガスに二酸化マンガン触媒を接触させることにより、効率的に二酸化炭素まで分解できる。ダイオキシン類の分解については、高崎市の高浜クリーンセンターからの実排ガスに電子線を直接照射して、ダイオキシン及びフランを90%以上分解できること、及びフランの分解率がダイオキシンのそれより低いのは、高塩素化同族体の脱塩素反応による低塩素化同族体の生成が原因であることを示した。
藤巻 秀
原子力・量子・核融合事典,4, p.122 - 123, 2014/12
本解説では、植物ポジトロンイメージング技術について、1990年代からの開発の経緯に触れ、医療分野で用いられるPET技術と対比したのち、応用研究例として炭素, 窒素, 微量必須金属元素, 有害元素を対象としたものを挙げ、トレーサ製造・投与技術や画像データの数理的解析技術についても触れる。また、その他の計測技術としてガンマカメラやコンプトンカメラなどが登場しつつあること、こうした新しい計測技術を用いた研究にも、これまでに確立したトレーサ利用や画像解析技術が直接応用でき、これらを総合して「植物RIイメージング」という新しい分野が興りつつあることを述べる。